今日の診療クイズ ー皮膚病が一日で悪化した…ー
こんにちはー
3月に入って、嘘みたいに寒い日が続いていますね😨
横浜は今年初のまとまった雪になりました。この雪、山林火災が続く大船渡に降ってくれたらいいのに…。
さて。
今日は、いつのもの診療から、皆さんと一緒に考えていこうかなと思いまして、
「今日の診療クイズ」
を開催します!
皆さんも獣医になったつもりで、一緒に考えてみてください♪
それでは!レッツ、シンキング!!
《患者さんプロフィール》
ダックスフンド君 4歳
<経緯・症状>(2年前の初診時)
2年前から皮膚病で当院に転院
転院当初は背中・内股に膿疹(ブツブツ)、足先(指の間)に赤み・腫れ、外耳炎がみられた
梅雨時から秋にかけて、特に夏にひどくなる
痒みスコア:8/10(寝ている間も無意識に掻いている)
<診断>アトピー性皮膚炎、外耳炎
<治療>
・アポキル錠を季節・症状により調整
・外耳炎は程度により持続型の点耳薬を月一回投与
・シャンプー・保湿などのスキンケア
というわけで治療開始してもうすぐ2年。ここまで順調によくなり、最近は秋ごろからアポキルを減薬できていました。
が
2週間前のある日から突然、胸、内股を痒がるようになり、舐め・齧りこわし

えー。
なんでー😨
飼い主さん「涼しくなってからはすごく良かったんですよ。ほんとに2週間前、突然掻き始めて。」
オレンジ「急にあったかくなった頃ですね。」
飼い主さん「そうなの。2月に入って急にあったかくなったあの日から。本当に急にだったんですよねぇ。」
オレンジ「うーん。気候ですかねぇ。花粉も出はじめましたし。花粉症でじゃないですが、アレルギーを起こしやすい状態になってたのかもしれません。」
飼い主さん「ですかねぇ。」
オレンジ「内股、背中、胸。あと、頭にも掻いた跡があるかな。」
飼い主さん「いつもは手をおしゃぶりみたいに舐めるのに、そうでもないんですよね。」
オレンジ「耳もきれいだし…。いずれにせよ、今回は一時的な悪化です。原因ははっきりしませんが、まずは今起こってる炎症を止めることが先決なので。1週間ステロイドと抗生物質を使いましょう。」
飼い主さん「わかりましら。とにかく早くよくなってほしいわ。」
オレンジ「ホントです。じゃぁお薬お出ししますね。」
飼い主さん「ありがとう。あ、先生、あと、先週〇〇がいたんで、そのお薬も。」
オレンジ「…え?」
飼い主さん「年末まであげてたんですけど、年明け忘れちゃっててね。」
オレンジ「〇〇見つけたのって、いつですか?」
飼い主さん「2週間前ぐらいでしたかねぇ。」
オレンジ「それだ!!!僕としたことが、あぁ、恥ずかしい…。この薬で絶対良くなります!」
さてみなさん
もうお分かりでしょうか
<ポイント>
・アトピー性皮膚炎など、アレルギー基礎疾患を持っている
・ある日、たった一日で急に悪くなった
・お散歩が好きで草むらなどによく入る
・ここのところ暖かい日が続いた
では、正解は…
診断 「ノミアレルギー」
そう、
今回の諸悪の根源は
「ノミ」
ノミアレルギーです!
ノミに喰われた時に入る唾液によるアレルギーです。
主にノミが寄生しやすい頭・胸・背中のお尻側に強く症状が出ますが、それだけではなく、
内股などアレルギー症状が起こりやすい、全身に症状が出ます。
強い痒みで、なめこわしや掻きこわしがおき、最近の二次感染による細菌性皮膚炎を合併したりします。
春から秋にかけての暖かい季節に多いですが、
最近はおうちの中が温かく、また、ノミは比較的寒さに強いため、一年中みられるようになりました。
<治療>
ノミダニ駆虫薬
以前はスポットタイプが主流でしたが、体の部位によって若干効果の持続にムラがあったり、薬剤が効かない(耐性)ノミが増えてきたこともあり、
最近ではもっぱら月一回の飲み薬を投与します。
みなさん、どうでしたか?
ちなみに、ノミは
「一匹見つけたら 百匹いると思え」
といいます。
しかも、人も喰われます。そして、めっちゃかゆい😨
これから春に向けて、お出かけの機会も増えます。
ノミダニ予防、くれぐれもお忘れなく!